北アルプス 立山〜笠ケ岳縦走


剣岳組と一緒に室堂から一ノ越へ

山行日 2008年8月10日(日)〜8月15日(金)
参加者 吉野(単独山行)

 奥西さん達が立山から黒部五郎岳経由で槍ヶ岳まで行く計画を立てていたので最初はそれに参加しようと思っていた。しかしよく考えてみると僕は立山から薬師岳までのコース以外は全て歩いており、反面近くの雲の平、水晶岳、笠ケ岳については、まだ登っていないので今回は太郎平小屋から雲の平、水晶岳、笠ケ岳と自分にとっては未知の山をつなぐ計画を新たに作る事にした。メンバーは、最初から単独山行を考えて1日に10〜12時間位歩くことが出来れば小屋泊まりにすると4泊5日で行けると判断したが、雷雨にあえば行動出来ないので雨は降ってもかまわないが雷だけは避けたいと願っていた。


一ノ越で剣岳組と別れ1人、五色ヶ原に向かう

8月10日(日) 天候、晴れ
城陽発17:00 〜 北陸道、立山IC出る21:23 〜 立山駅前駐車場着21:50(テント泊)〜 就寝22:30

 奥西さんの車に便乗させてもらって夕方、京都を後にした。車は順調に走って北陸道の立山ICから一般道に降りて富山地方鉄道の立山駅前駐車場に到着した。夜も遅かったが駐車している車は満車に近く、端の空いていた場所に車を停めて、ついでにテントも1張り張った。テント内で横になった頃には、まだ舗装されている路面からの熱気が体に伝わってきて少し熱かったが夜が更けるにつれて、それも段々に無くなり又、車の走る音なども少なくて静かな一夜を過ごす事が出来た。

8月11日(月) 天候、晴れのちガス
起床4:45 〜 立山駅(ケーブル)発6:10 〜 美女平6:17着/6:30(バス)発 〜 室堂7:20/7:45 〜 一ノ越8:35/8:45 〜 獅子岳10:40 〜 ザラ峠11:30/11:55(昼食)〜 五色ケ原山荘12:35/12:45 〜 鳶山13:20〜 越中沢岳15:00 〜 スゴノ頭16:15 〜 スゴ乗越小屋着17:40(泊)〜 就寝19:30

 昨夜は比較的よく眠れて起床後、出発の準備を行いケーブルで美女平に上がって、美女平からはバスで室堂まで入った。室堂で登山計画書を提出して奥西さん達の5人パーティーと一ノ越まで同行したが、一ノ越で奥西パーティーと別れて1人で多少、胸の高鳴りを感じながらも五色ケ原方面目指して歩き始めた。
 天気は上々であり高度を上げるにつれて周囲の山並みが、どんどん広がって行った。一ノ越から薬師岳までの間を歩くのは全く初めてであるので、目にする風景もめずらしくデジカメで写真をとりながら進んで行った。
 獅子岳の手前付近からは五色ケ原の美しい平原が目に映り、五色ケ原山荘の赤い屋根も身近に感じられた。ザラ峠で昼食にしたが付近を歩いている登山者はポツポツであり、中には若い人もいたが中高年の単独行者も結構目に付いた。
 五色ケ原山荘には予定よりも1時間早く着いてしまい、計画ではここに泊まる予定で宿泊予約も入れていたが、キャンセルしてもらい先に進むことにした。
 鳶山を越えて越中沢岳の登りに差しかかった頃よりガスが広がり始めて、越中沢岳の山頂では周囲の景色もほとんど見えなくなっていた。この少し前より
4年前に脱腸を手術した跡が少し痛み始めて、そこを手で押さえて歩いていた。
以前のトレーニング山行の時にも少し痛みが出た為、医者に見てもらうと大丈夫という事であったので心配せずに休みながらゆっくり登って行った。
 越中沢岳、スゴノ頭、付近はコース的にも良くなくて、体力的にも結構しんどい所であった。
 今日は起伏の多いコースであったが17時40分にスゴ乗越小屋に着いて本日の行動を終了した。ここは今もランプを使用している素朴な感じの小屋だった。

8月12日(火) 天候、晴れのち曇り一時雨
起床4:30 〜 スゴ乗越小屋発5:35 〜 間山6:45/6:55 〜 北薬師岳8:35/8:50 〜 薬師岳9:40/9:55 〜 薬師岳山荘10:35/11:00(昼食)〜太郎平小屋12:20/12:55 〜 薬師沢小屋着15:15(泊)〜 就寝19:00

 今日は太郎平小屋泊まりの計画であったが昨日、予定以上に行動出来たので
薬師沢小屋まで足を延ばそうと軌道修正して出発した。天気は素晴しい青空が広がり、間山を登りながら歩いてきた後ろの山並みを振り返ると、剱岳が少し頭を出していた。奥西パーティーは、もう源次郎尾根に取り付いているだろうか?
 間山から北薬師岳、薬師岳へと続く稜線は山頂がもう目の前であったにもかかわらず又、手術跡が痛くなったので、ゆっくり休みながら登って行った。薬師岳を越えて薬師岳山荘の横で昼食をとり、宿泊キャンセルの為に寄った太郎平小屋では、ついでにラーメンを食べてから薬師沢へと下りて行った。
 この頃より天候はガス気味に変わり、薬師沢小屋に着く少し前の14時半からは1時間ほど雨に降られた。
 薬師沢小屋は黒部、奥ノ廊下と薬師沢との合流点の小高い所に建てられており自分の勝手な想像では、あまり泊まりたい小屋とは思っていなかったが予想に反して中はキレイで清潔感がありトイレもバイオトイレが設置されていた。17時から夕食になり、おかずは普通だったが米(ご飯)は抜群にうまかった。僕は1人で小屋に泊まった事があまり無かったのだが、食事の時、見ず知らずの人に給仕をしてもらったり、したりして、和やかな雰囲気の食事風景であった。

8月13日(水) 天候、晴れのち曇り夜一時雨
起床4:30 〜 薬師沢小屋発5:20 〜 雲ノ平、アラスカ庭園7:30 〜 雲ノ平山荘8:25 〜 雲ノ平終了9:10 〜 祖父岳10:00 〜 ワリモ北分岐点10:55〜 水晶小屋11:40 〜 水晶岳12:20/12:25 〜 水晶小屋13:00/13:20〜 ワリモ北分岐点13:55 〜 鷲羽岳14:45 〜 三俣山荘着15:40(泊)〜
就寝19:30

 今日は痛みも出ず、体調は比較的良好でしっかり歩く事が出来た一日であった。朝食後に薬師沢小屋を発ち吊り橋で川を渡った後、すぐハシゴでいったん川原に下りて又、別のハシゴを登ってから雲ノ平への急登が始まった。土を踏む事は、ほとんど無く岩、石ばかりの道であり、濡れているので滑らないように慎重に歩いた。2時間近く登って平坦になってくると、やがて木道が現れて美しいアラスカ庭園を目にする事が出来た。
 雲ノ平は美しい緑のジュータンであり、その中にずっと木道が続いており、その上をのんびり写真をとりながら進んで行った。木道の上を歩くのは味気ない、という人もいるかもしれないが、しかし小人数で静かに歩けば十分に楽しい所であるのは間違いないと思っている。
 その後、祖父岳から岩苔乗越を通り、やっと裏銀座縦走コースの稜線である
ワリモ北分岐点に到着して水晶小屋へと向かった。水晶小屋はヘリコプター墜落事故により壊れたので、新築されてキレイになっていた。その後、今回山行の目的の一つである岩のガレキを積み上げたような水晶岳に往復してから再度、水晶小屋に寄り、おしるこを食べて鷲羽岳へと向かったが13時頃より天気は曇りになっている。
 鷲羽岳は昔、テント泊にて裏銀座縦走コースを歩いた時に登っており、ザラザラした斜面と登りのしんどかった事が印象に残っていたので、そのつもりで、ゆっくり一歩一歩登って行ったが、あっけなく頂上に着いてしまった。この時間になると登山者は全く見かけなくなって、完全に自分1人の世界であった。
人気の裏銀座縦走コースにおいても、この状態なので、やはり以前に比べてかなり登山者が少なくなっている、という印象を持った。
 15時40分に宿泊予約をしていた三俣山荘に着いた。体力的にはまだ余力があったので、ここをキャンセルしてから馴染みのある双六小屋まで行こうかと思ったが18時頃になり、夕食準備で迷惑をかけると考えて予定通りに、ここに泊まることにした。
 三俣山荘に泊まるのは初めてであったが通された2階の大部屋は定員の半分位の宿泊者であり少なかった。1つのフトンには2人寝るように各々、番号を付けられていた事を考えると、この部屋に限っては以前の1/4位の宿泊者だったように思われる。夕食は近くの双六小屋に比べるとかなり貧しいものだった。
 暗くなる前に外に出ると28才の時、残雪期に登った硫黄尾根が目の前に赤茶けた山肌を見せて横たわっており、何回見てもなつかしさを覚えた。天候はガスが出始めており、19時過ぎには一時的に雨が降った。

8月14日(木) 天候、ガス時々小雨、夕方雷雨
起床4:30 〜 三俣山荘発5:40 〜 双六小屋7:55 〜 弓折岳9:20 〜 秩父平11:20 〜 笠新道分岐点12:37 〜 笠ケ岳山荘13:45/14:10 〜 笠ケ岳14:25 〜 笠ケ岳山荘着14:40(泊)〜 就寝19:30

 今日は笠ケ岳まで行って暗くなっても出来れば今日中に新穂高温泉に下山したいと思って出発した。天候はあいにく視界50mのガスである。双六小屋へは巻き道ルートを歩いたが、やや盛りを過ぎつつある感じの花がたくさん咲いていた。弓折岳から先は初めて歩くコースであったが、ここは予想以上に花が多くて大変キレイであった。
振り返ってみると昨日までの花は白が多くて、ほとんど盛りを過ぎた感じであったが、弓折岳付近から先の花は白に加えて黄色も多く今が盛りで鮮やかだった。
しかし不思議に思うのは、今回の山行は北部の立山から南部の笠ケ岳に縦走してきた為、南部よりも雪の多い北部の方が花も遅いと考えるのが普通と思うが・・・。
現実には全く逆になっている。南アルプスの千枚岳、荒川岳、付近の花も今頃が最盛期のはずである。
 今日は入山4日目の為か、秩父平付近から少し体が重くなってきた。
視界50mのガスは切れる気配もなく、周辺の景色、山の様子が全くわからずに歩いても、歩いても、なかなか目的地に着かないもどかしさを感じるようになっていた。地図では大きな起伏も無いので今日は楽勝で軽く流して歩けると考えていたのだが・・・。笠新道に下りる分岐点を見落としたのか、と思うほど分岐点まで時間がかかり、この頃から小雨が降り出したのでカッパを着て、やっとの思いで笠ケ岳山荘に到着した。自分の考えていた時間よりも遅く今日中に新穂高温泉に下りれるか冷静に考えてみた結果、少し無理があり又、笠ケ岳山荘は予想に反して新築のキレイな建物だったので宿泊予約無しであったが泊まる事にした。
今日の昼食は梨1個の為、親子どんぶりを食べてから笠ケ岳の山頂まで往復した。
 その後、小屋で横になり、くつろいでいたら16時頃に突然雷が数回鳴り1時間位の間、強い雷雨となった。部屋の窓から外の激しい雨を見て下山しないで良かったとつくづく思った。雷は予想していなかったので本当にラッキーだった。
 今日は泊まり客がかなり多く夕食は少し待たされたが、昨日とは雲泥の差でデザートもたっぷり付いて大変うまかった。

8月15日(金) 天候、ガスのち晴れ
起床4:10 〜 笠ケ岳山荘発5:50 〜 笠新道分岐点6:55 〜(笠新道下山)〜 杓子平8:00 〜 左俣林道(水場)10:30/10:45 〜 新穂高温泉11:40着/(バス)発13:50 〜 高山駅15:40/18:42 〜 京都駅着22:52

 立山からの長かった山行も本日で最後である。朝食後、笠ケ岳山荘を出発して下山に向かったが天候は今日も視界50mのガスである。下山ルートは笠新道分岐点まで戻り笠新道を下り始めたが、この頃になるとガスも少しずつ切れ始めて
段々と付近の山容が目に入るようになり、笠ケ岳周辺の山、特に谷がかなり険しいという印象が残った。そして笠新道も非常に傾斜がきつく、かなりの部分、岩、石の上を歩く状態であり登るにしても下るにしても、なかなか厳しい道であると思った。高度を下げるに従って青空が広がるようになり、最後に大きなブナ等の樹林帯を抜けると、やっと左俣林道に下りることが出来て下山口に有った水場で休憩してから新穂高温泉へと向かった。近くの温泉にゆっくり入ると、もうこれで歩かなくても良い、長かった山旅もやっと終わったという安心感と達成感に浸ることが出来た。昼食後バスで高山駅に向かい、高山ではソバを食ったり飛騨国分寺を見物したり等、気ままに過ごし、その後特急で岐阜まで行き京都までは各駅停車でのんびり帰った。自宅着は日付が変わる少し前であった。最後に予定通りに歩く事が出来たのは登りたいという気持が持続出来た事が最も大きく、従って山行前のトレにも気持が入り、天候に恵まれたこともラッキーであった。



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