個人山行 劔岳・八ツ峰山行報告
山行日 2010年9月24日(金)〜26日(日)
参加者 CL花折敬、花折忍、網岡国、奥西(報告)

 2年前の8月に「源次郎尾根―劔岳」山行をしたとき、長治郎谷を挟んで八ツ峰がいくつもの険しい岩峰を連ねて、上り竜のようにそびえているのを見て、「行きたいね」と話してはいた。しかし、本当に行けるとは思ってはいなかった。単なる願望といってよい言葉であった。

八ツ峰下部
1峰から4峰にかけて

後ろの一番高いピークが1峰

1峰と2峰のコルから
八ツ峰の縦走が始まる。


  八ツ峰上部

  一番右が5峰
  6峰、7峰、8峰と八ツ峰の頭

 8月の北アルプス大縦走のときだったと思うが、花折敬さんが9月に八ツ峰に行かないかと話した。
 行けるものなら行きたいと思っていたので、渡りに舟、井の一番に「行く」と返事を返した。網岡国さんも行くといい、忍さんと4人で行くということになった。

 初め、下の廊下経由で計画をして頂いたが、メインの八ツ峰を中心とした計画で行こうということになった。23日(木)から26日(日)で計画した。しかし、23日は雨になり、予備日なしで24日から26日で山行を行うことになった。

23日(木) 22:00 扇沢着 (車の中で仮眠)
 
  雨の予報が外れ、星も見える天候になっていた。
24日(金) 5:00起床 ― 7:30トロリーバス乗車 ― 7:50黒部ダム トンネルを抜け出発 ―8:50内蔵助谷出合 ― 10:35真砂岳への分岐 ― 11:35ハシゴ谷乗越手前 ― 13:20真砂沢ロッジ

 カッパで歩くことを予想していたが、良い方に外れ、雨の心配はなくなった。多くの観光客といっしょに7時30分1番のトロリーバスに乗車。15分ほどで黒部ダムに到着。降りたとこより前方に20mほど行き、左折して歩いていくとダムのちょっと下部に出る。

 出発地
黒部ダムのちょっと下。

向かいの山は、黒部別山
その左にちょっと頂を見せているのが「丸山東壁」

旧日電歩道を黒部ダムまで下っていく。

黒部川を板の橋で渡る。


 先頭を歩くのは花折敬さん。大縦走の時より歩くのが速い。ついていくのがたいへん。「ああ、しんど」

黒部川に降りると黒部ダムが見える。
下から見るのはもちろん初めて。このルートを歩くのが初めてだから。
観光放水というのをしている。なかなか壮観だ。


黒部川の左岸沿いを歩く。

山が迫って、谷は深い。

左に滝を見たり、橋を渡ったりしながら行くと内蔵助谷出合いに来る。ここで黒部川とはお別れである。少し行くと、クライマーにはあこがれの岩「丸山東壁」が見えてくる。圧倒的な迫力で迫ってくる。

丸山東壁

もう登る機会はないかな!

岩壁の下を歩いていく。

内蔵助平までは、なかなかの登りである。

内蔵助平で再び橋を渡り、すぐに真砂岳への道を分け、ハシゴ谷乗越へ向かう。初めはゆるい登りも、だんだん急な登りになってくる。


もううんざりと思う頃に「ハシゴ谷乗越」に着く。一気に展望が開ける。
見覚えのある稜線が見える。白馬岳から五竜岳の稜線だ。この間の山行が懐かしく思い出される。ハシゴ谷というだけあり、いくつものハシゴで急斜面を下っていく。道は岩がゴロゴロしている。途中で左折しトラバース気味に歩いていくと剣沢雪渓に出る。

 雪渓を左岸に渡る。

左岸沿いを少し歩くと
小屋まであと10分のペンキ。

間もなく到着。

13:20 真砂沢ロッジ着


このロッジは剣沢のまん中にあり、石垣で上流側が囲まれている。20人ほどでいっぱいになる小さい小屋である。オーナーの佐伯さんとお嬢さんの2人が従業員で、アットホームな感じだ。我々は朝食抜きで4時30分には出発するが、3時までに起きてお茶を沸かし、みそ汁をつくり、コーヒーまで出して頂いた。無料である。こんな親切な小屋は初めてである。感激した。湯をかけるだけだが風呂もある。
13:50〜15:40まで、八ツ峰の取り付きまで下見に行く。

25日(土)真砂沢ロッジ〜八ツ峰〜劔岳〜剣山荘

4:25 発  長治郎谷に入り、ガレ場を終わったところでアイゼン・登攀具を付ける。 5:55 八ツ峰取り付き着  6:00発  7:481・2峰のコル7:55 ― 8:02 2峰(懸垂下降) ― 8:25コル ― 8:36 3峰(懸垂下降) ― トラバースして草付を登る ― 9:04 4峰(懸垂下降) ― 9:40 5峰 ― 10:20 5峰最後(懸垂下降) ― 10:405・6峰のコル(休憩) ― 11:22 6峰 クライムダウン ― 11:40 7峰 門の間を通ってクライムダウン ― 12:10 コル ― 12:33〜40 8峰(懸垂下降) ― 13:30 八ツ峰の頭 ― 北方稜線下りすぎ戻る ― 15:00劔岳本峰直下(懸垂下降) ― 15:25劔岳15:40 ― 17:55 剣山荘

 ヘッドランプを点けて歩き始める。5時過ぎになると明るくなる。雪のない左岸沿いに道がついている。雪渓に出たりしながら登っていき、剣沢と分かれて長治郎谷に入る。ここでアイゼンと登攀具をつける。斜面は斜度を増してくるが、ひと登りで八ツ峰の取り付きに着く。右手に大きな1枚岩の岩壁が目印である。

長治郎谷の雪渓を登る 八ツ峰取り付き点

 アイゼンをはずし、登っていく。もうちょっと楽に登れるかと思っていたが、案外しぶとい登りである。ルンゼは水も流れていて、滑りやすいので慎重に登る。花折さんはやっぱり経験が深い。岩稜帯なので踏み跡というものは、はっきりとはない。しかし、だいたい正しく登っていく。

初め大きな岩稜帯の登りである。

斜度はきつくはないが、滑りやすそうで、なるべくルンゼ状の所を登る。

浮き石を掴まないように、浮き石に乗らないように、落石をしないように、気を使う。
 細心の注意が必要。

案外フリクションがきき、気持ちよく登れる。

 だいぶ登ってきたな!

約1時間50分で1・2峰のコルに到着。
  
 ほっと一息

 さあ、これからが本番だ!

後ろの人は男女の若者2人パーティー

   岩稜帯を奥西がのぼっています。

 なかなか高度感がある。

花折さん、懸垂下降をするところ

 懸垂下降は7回やった。

右の写真
 一番後ろが1峰だから、ここは3峰の登りかな?!
 
すぐ後ろのピークがたぶん2峰
 
まだ縦走が始まったばかり

 右の写真
  これは5峰だったかな?

  右手をだいぶ下り、回り込んで
 10m程の懸垂下降をして、右手にトラバース気味におり、階段状のフェースを降りると5・6峰のコル。

階段状のフェースを降りる花折忍さんと網岡国さん

何峰か分からないが、懸垂下降する奧西

ピークを越える           7峰 門のような岩の間を通ってクライムダウン

右の写真
8峰への登り。右手の方のフェースを登ったと思う。

 
登ってきた八ツ峰下半部

6峰から下が見えているのかな?

だいぶ登ってきたが、劔岳まではまだ遠い!

  右の写真
 やっと八ツ峰の頭に到着。
 やったぜ、握手!
 後ろの峰は、右手が北方稜線と
その左に劔岳本峰2999m

花折敬さん、バンザイ!!

6峰から頭までの八ツ峰の稜線をバックに北方稜線を登る。
ここも結構険しかったり、道を間違え下りすぎて戻ったり、懸垂下降したり、最後は、本峰への最後の急登をがんばり、
やっと到着。

頂上に着いたのは午後3時25分。誰もいなかった。
劔岳に到着。
バンザイ!!
やっと着いた。

11時間の行動時間だった。

体力だけでなく、ずっと緊張の連続だから、心身ともに疲れる。

新しくなった祠の前で

 網岡さんの携帯が通じ、剣山荘に予約ができた。
 夕食も出してもらえる。よかった!!

 剣山荘までの下りは気持ちに余裕がある。それは、落石の心配がほとんどない、目印のペンキが付いている危険なところには鎖がついているからだ。

午後5時55分
剣山荘着

ヘッドランプの助けはいらなかった。

やっと着いた。

13時間30分の行程だった。

9月26日(日)剣山荘〜室堂バスターミナル
6:11剣山荘発 ― 7:13劔御前小屋7:22 ― 8:10雷鳥沢テント場8:20 ― 地獄谷経由で室堂バスターミナル8:55

劔岳から剣山荘までの下りは、急だけれど鎖が着いている。

劔岳と右手の尾根の手前が源次郎尾根、後ろが八ツ峰

 あんな所を登ったのだ、という感慨に浸りながら帰路につく。

 今日も良い天気。

              地獄谷

 室堂からは乗り継ぎもよく、トロリーバス、ロープウエー、ケーブル、、ダムを渡り、またトロリーバスと乗り継いで扇沢へ。
 もう行けないと思っていた八ツ峰に行けて、もう最高の幸せ!
  花折さんに感謝だ!!
だけど、厳しいところだったぜ!


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