個人山行

剣岳・源次郎尾根への挑戦

山行日 2012年7月13日(金)夜発〜15日(日)
参加者 CL網岡国、若林、冨永(福知山)、網岡修(記録)

 5年前奥西さんをリーダーとして土岡さん国江と田辺の中島さんに私を加えて5人で源次郎尾根から剣岳に登った時は、まだまだ余裕のある体力に自信もあってそれほど厳しい印象はありませんでした。
今回は国江をリーダーにして若林さん福知山の冨永さんと私の4人で行く事にしましたが、宿の剣山荘に予約を入れると今年は残雪が多く、アプローチにもアイゼンが必要ですとのこと、不安が募って来ました。

7月13日の夜7時 八幡に集まり網岡の車で一路富山の立山駅を目指す。三連休の前日とあって夜中1時の駐車場でも半分近く車で、やはり登山人気の高まりを感じる。

14日 朝4時に起きると近くに花折さん達明峰のパーティーと出合い、一緒に剣山荘まで行く事にする。冨永さんの提案でJAFのカードを見せるだけで、ケーブルとバス料金が全員割引になり、一人600円の節約に全員感激する。
早朝2番目のケーブルで美女平について後は高原バスに揺られて室堂のターミナル到着後休憩もそこそこにターミナルを出ると本来雪が無いはずの室堂のあちこちが雪に覆われており、改めて今年の雪の多さに脅かされる。



 山小屋泊とは言えザイルやギアー類が有るので14〜5キロの重さが方に食い込みずっしりと感じる。 今日の天気は曇りで厚さには程よい感じではあるが、明日の予報が気になるところ、しかしここまで来たらまず剣山荘に急ぐことにする。
花折さんのパーティーとは少しスピードが違うので別行動をして剣山荘を目指す。
御前小屋への登りは雪も余りなかったが小屋に着くとそこから剣沢まではたっぷりの雪で、剣山荘への道標には必ずアイゼン装着との表示があって、実際たっぷりの雪道をアイゼン無しではとても歩きづらいし危険ではあるが、ただ一人国江は面倒だと言ってアイゼンを付けずにとうとう剣山荘まで行ってしまった。
 到着後明日の下見に剣山荘から剣沢までのルート確認に行ってみると、ルートは雪解け水ですっかり小川のようになってしまっている。こりゃ大変だ・・・・



土曜日の天気は雨と風が強いとの予報で心配していると、正に予報通り大荒れではあるが、とにかく源次郎の取りつきまで行ってみようという事になり、雨カッパにヘルメットとハーネスを装着して出発し、剣沢を下降していくが急斜面に6本爪アイゼンはやはり不安で15メートル近い風に体が降られて益々不安定になる。
源次郎ルートの取りつきまで行くつもりでいたが、登り返しと雨風を考えて、一旦小屋に戻ると花折さん達は今日は行動を取りやめて明日に延期とのこと、私たちも源次郎登攀を諦めるかどうか相談の結果、明日晴れていれば決行することで一致したものの、その日に京都に帰るのはかなり厳しい山行になると予想。



15日 3時半早朝はまだ星が輝きあっている、でも周りは真っ暗闇なのでヘッドランプの明かりを頼りにスタートするが、雨は上がったもののまだ風が強いのが気になる。
全員アイゼン装着しているもののやはり雪渓500m急斜面の下降は厳しいが、少し傾斜の緩やかになったところで夜が白み始め、赤紫色から青紫への天体ショウは素晴らしい。私たちの前に3人のパーティーが取りつきにいたので先行してもらうことにする。
準備を整えていよいよ登攀開始するが、少し登ったところで第一の関門と言える3mほどの岩を登ることにするが、前日までの雨でぬれた岩はやはり手ごわいものの、残置のザイルを利用しながら登攀し、後続は私たちのザイルを出して何とか全員登りきる。
岩に張り付いた松の根をつかんだり草をつかんだりで四つんばいになりながらの登攀が続く。安定した岩はあまりなく、雪解け後のはがれそうな岩や浮石が多いので、トン画慎重に確実を心掛けるものの、ガレ場はとても歩きづらい。



岩場では落石に注意するのが当たり前とは言うものの、至る所浮石だらけで、全員緊張感を絶やさない事を再確認する。すでに何度か落石をしてしまっている。
T峰の頂上に着くとほっと一安心、景色を見る余裕もあるようで素晴らしいと若林さん。余り人が入っていないようで木が生い茂り、又残雪がルートを解りにくくしているので、ようやく尾根筋にたどり着くと思った直前、予想以上の大きな落石で驚かされる。雪解けの頃が最も落石が多いというのは当然ではあるが、目の前で起こると恐ろしい。
何度かザイルを出して確保しながら登攀を繰り返し、ようやくU峰の頂上に立つ。



いよいよ35mの懸垂下降にはいることにする。残置のシュリンゲを確認し新たにバックアップをとりザイルをつないでセット完了、トップは国江が簡単に降りていく、続いて冨永さんそしてこれだけ長い懸垂初挑戦の若林さん、途中少しプルージツクがもたついたものの無事通過、回収準備をして最後は私が降りることにするが、久しぶりの長い懸垂はとても気持ちの良いものだ。ただ懸垂の下降点は本来まったく雪が無いはずなのに、今日は雪で覆われていて左右切れ落ちているので滑りやすく要注意。
源次郎のハイライト場を過ぎて後は岩場の登りであるがここもガレ場で落石に注意しながらようやく剣岳の山頂へ到着、11時30分、8時間の行動時間は少し遅めではあるが、今回の雪の状況と落石等の悪条件の中やむを得ないと思われる。
今回初の源次郎尾根挑戦の若林さんは大満足で冨永さんも感激したとの事、みんな無事で何よりとはいうものの下山も注意するように申し合わせする。



しかしやはり一般ルートは岩が安定しているので非常に歩きやすく、楽しい下山となりました。今日中に京都まで帰るので急いで剣山荘に着いて、すぐ荷物を詰め込んで午前小屋から室堂ターミナルを目指す。

今思うと今回の山行で最もハードであったのは、剣山荘から室堂ターミナルへの帰りでほとんど休みもなく水にぬれたザックは肩に食い込んで、正直国江以外は皆ダウン寸前ようやくの事で5時40分の最終バスに乗り込みぐったり。
本日の行動時間14時間30分は私自信の新記録。でも完全に疲れ切った山旅でした。




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