屋久島・宮之浦岳

 山に登り始めてもうかれこれ30年になる。初めは1人で近畿地方の山を休みになれば登っていた。山城・山の会に入会し、日本全国に足を延ばすようになった。その後、らくなん山の会の結成に参加し、山三昧といってよいほどの山行に参加するようになった。花折さんを知ってからは、厳しい冬山山行にも同行させていただいている。3年ほど前、雑誌「岳人」に300名山が掲載されたポスターが付録としてついていた。それで100名山を登った数を数えると88山になっていた。別に100名山を登ることを目標にはしていなかったが、「あと12山か。1つの目標とするのも良いな」と思うようになった。昨夏北海道の山に登る前には92山になり、花折夫妻、網岡国さんと山行した北海道で、トムラウシ、斜里岳、羅臼岳、羊蹄山と4つの100名山に登り96山になった。奥西の100名山達成に花折夫妻、網岡国さんも協力してくれることになり、今回宮之浦岳に登り97山になった。
 あとは,平ヶ岳、越後駒ヶ岳、幌尻岳を残すのみとなった。今年中に達成の予定である。
 宮之浦岳は100名山ということで多くの登山者がある。また、世界自然遺産に登録され、さらに多くの人が屋久島を訪れるようになった。自分たちとしては、混雑した時期に山に入るのはあまり気が進まない。宮之浦岳も冬には雪が降ることを知っていたので、人の少ない、雪の降る冬を山行時期として選んだ。
 しかし、人は少なかったが、雪は全く「無し」の山行であった。それと、花折敬さんが、手術した肩のリハビリで参加できなかったのも残念であった。

山行日 2017年 1月 6日(金)〜9日(月)
参加者 CL:奥西  網岡修  網岡国  熱田  花折忍(明峰)  報告:奥西
日程及びコース
1月6日(金) 10:20大阪空港発〜11:55屋久島空港着〜12:38「紀元杉」行きバス発、「合同庁舎」バス停でバス乗換〜14:30「紀元杉」バス停着・歩く準備はできているので、すぐに歩きはじめる〜15:45淀川小屋着
  7日(土) 5:00起床〜7:00小屋発〜8:40黒味岳への分岐〜10:45宮之浦岳(強い風とガスで見えず、写真を撮りすぐに下山)〜13:35淀川小屋着  6時間35分の行動時間
  8日(日) 7:00起床〜8:55小屋出発〜9:35「紀元杉」バス停着(紀元杉を見学)〜10:40バス出発〜途中昼食をとり楠川の民宿「湯の河」へ
  9日(月) 屋久島観光 8:00 宿出発 白谷雲水峡・ウミガメ産卵地・大川の滝・中間のガジュマル巨木・千尋滝を見学 18:00発の飛行機で大阪空港へ

報 告
 1月6日(金)
 12月の末から天気の状態をチェックしだしたが、ちょうど6日〜8日頃が悪天の予報である。年が明けてもその予報が変わることはなく、3日間は雨ということになった。当初計画は、宮之浦岳に登った後は新高塚小屋経由で白谷雲水峡へ降りることになっていた。しかし、8日も天気の悪化が予想されるので、宮之浦岳をピストンして再び淀川小屋に戻る方が、荷物が軽いのと、8日の山での行動時間がはるかに短くなるので、危険度は軽減されると判断して、計画を変更して出発した。
 晴れて何の問題もない大阪空港に9時過ぎに集合。搭乗口で待っていると、「屋久島空港の天候が悪化した場合、鹿児島空港か大阪空港に引き返す。」との脅しのようなアナウンス。「まあ、天気が悪かったらしゃーないわな。その場合、大阪に引き返してくれたらな」と思いつつプロペラ飛行機に搭乗。
 屋久島に近づくにつれて雲の中を飛んでいた飛行機だったが、何とか屋久島空港に着陸してくれた。満席に近かった乗客もほとんどは観光で、山の格好をしているのは我々5人だけ。
 天気はというと、カッパを着るが、ぽつぽつ程度断続的に降る程度である。下山後に使用する衣服などの荷物を取りに来てくれた民宿の若女将の言によれば「昨日まではずっと良い天気でしたのにね。まあ、これが屋久島の天気です。」何の言葉も発することができず。
  忍さんがガスを3個買い、とにかくバスに乗って出発。「合同庁舎」というバス停で「紀元杉」行きのバスに乗り換えるが、出発までに30分ほどある。小雨が降りだし、軒下で昼食などをとろうとしていると、職員の女性が「なかで休んでもらってよろしいよ」と言ってくれる。ありがたい。旅でこのようなちょっとした親切を受けると心が和む。
 案の定バスに乗ったのは我々5人だけ。我々がいなかったら空気を運ぶことになる。乗車賃970円。途中、安房で女性が一人乗ってきたが屋久杉ランドで降りたので、バスはほとんど貸切状態だった。
 バスは海近くから、標高約1300mの紀元杉までの曲がりくねった山道を登って行くので思いのほか時間がかかる。終点の「紀元杉」で下車すると、まだ続くアスファルト道を20分〜30分歩く。途中「川上杉」などの大杉に出合い感動の声を上げる。淀川登山口に着く。案内板やトイレ、駐車スペースがある。
 ここから山道に入るが、道はよく整備され、木の階段が続く。道はゆるやかに上ったり下ったりしながら登って行く。名もない杉の大木が次々に出てくる。地表はコケに覆われ、木の幹にもコケがついている。幽玄な雰囲気の漂う森で、「1ヶ月に35日雨が降る」と言われる雨がこのような屋久島の森を育む。雨は全然気にならない程度である。
 山道が下りになると淀川小屋は近い。ちょっとした平地に小屋は立っている。なかなか立派な小屋だ。先行者が3人ほどいたが、上段にいたので、下段は我々が占領状態になった。
 初めての冬の九州山行なので、服装をどのようにするか悩んだ。一番上は冬のヤッケではなくカッパにしたが、中は厳冬期の服装で来た。しかし、暑い。汗がどんどん出てくる。1枚、また1枚と脱いでいき、最後は下着とカッパだけになってしまった。その服を小屋の中で干したが全然乾かなかった。100%に近い湿度の中では、乾かないことが実感できた。今は速乾性の衣服がほとんどなので、「着干し」が良い。
夕食まで時間があるので、さっそく宴会である。忍さんは、ビールは飲むが、ここにはない。ほかの3人はほとんど飲まない。酒談義で盛り上がるが、いつもの花折敬さんがいないので、奥西の一人宴会状態である。
 夕食は、網岡さんが準備してくれた「なべ」だ。うまいことこの上ない。山でこんな豪華料理が食べられるとは至福の極みである。腹いっぱいいただいた。小屋の中にテントを張って就寝。

 1月7日(土)
 5時起床、準備して7時に出発。この時期、屋久島の7時はまだ暗い。すぐに明るくなるが、ヘッドランプを点けて出発。
 カッパを着て出発するが、雨はほとんど降っていない。
 歩き出すと今日も暑い。歩き出すとすぐに汗が出て、フリースを脱いで、下着とカッパだけになる。京都の低山に登ってもこのような格好はしない。
 杉の大木が出てくるが、昨日のような歓声が上がることはなくなった。道は木の階段などで整備され、歩きやすい。ほとんどハイキング状態である。登山をしているという感じがしない。標高差600mほど登るのだけれど、長い平行道があったり、小さいアップダウンがあったりで、結構うんざりする。また周りはガスっているので、遠くの景色はない。坦々と歩くだけである。小花之江河、花之江河に着く。ここは湿地帯なので、夏はいろんな花が咲くのだろうなと想像して通過する。黒味岳の分岐に着き休憩。
 ここを通過すると所々岩稜帯が出てきたりして、やっと登山の雰囲気が出てきた。地図によれば、投石平から、筑紫岳、安房岳、翁岳と右手に続く山稜の下部をトラバース気味に登っているようである。樹林はしゃくなげなどの低木林になり、小葉のササ林になると頂上は近い。大きな岩も現れてくる。ロープの張ってあるところが何か所かある。栗生岳1867mを過ぎ、やっと急登になった山道をひと登りすると宮之浦岳山頂1936mである。頂上部は強風が吹き、ガスのため何も見えないので、写真を撮ってすぐに下山にかかる。栗生岳の岩室まで下り、休憩する。
 途中小ぶりなヤクシカ出会うなどして、小屋に帰ってきたのが13時35分。6時間35分の行動時間であった。: 
 この日の小屋は我々だけの貸切状態。昨日と同様宴会の後、カレー・海藻サラダの夕食をいただき就寝。


 1月8日(日)
 バスの出発が10時40分なので、小屋を早く出発しても仕方がないので、7時起床、9時出発とする。 
 パッキングをして、部屋を片付け出発。天気は回復傾向だが、雲の流れは速く、山の上の方はガスがかかっているので、よい登山条件ではないであろう。バス停に着いたが、バスの出発までは時間があるので紀元杉を見学。直近で見るとやっぱり大きい。
 40分になるのにバスが来ない。修さんが見に行く。5分ほど遅れて修さんを乗せ、バス停に来た。多分客はいないと思っていたのだろう。下りは全くの貸切。
 下って行く途中晴れてきて、屋久島の山々の一端が見えてきた。突き立った大岩が見えたりする。見えるあの山などにもう一度登りたいという気持ちがわいてくる。もう一度来よう。
 運転手さんに聞いて、安房に食堂があるという。「はせがわ」という食堂に入る。そこの定食は良かった。自分はAランチ、たっぷりのブタステーキ、魚の一切れ、尾頭付きのエビ2匹と野菜で1000円ちょっと。結局、ストレートで1合はたっぷり超えた量の焼酎(520円)を2杯も飲んでしまった。
 また、バスに乗り、民宿「湯の河」に向かう。近くに温泉があり、宿に泊まると無料になる。小さいが温泉だが、いい湯であった。

 1月9日(月)
 今日は1日屋久島観光。8時にレンタカー(5000円)で宿を出発。まず白谷雲水峡に行く。約1時間渓流沿いのコースを歩く。弥生杉・二代大杉などの大杉を見て回る。次に、ウミガメの産卵地に寄る。この辺りからは、噴火で全島避難となった口ノ永良部島が結構近くに見える。永田の集落を過ぎると道は細くなり、カーブの連続になる。熱田さん慎重に運転。ヤクシカが人や車を気にすることなく歩いている。サルも見る。再び道が広くなると、間もなく大川の滝である。名瀑100選に選ばれている88mの豪壮な滝であった。少し車を走らせると、仲間集落にガジュマルの巨木群がある。車窓からは、青空にくっきりとした頂を見せている山がいくつかみられる。登高意欲がそそられる。特にモッチョム岳はいい。その登山口の近くに千尋滝がある。ポスターの写真とかに出ている滝だ。滝もいいが、その左手に広がっている1枚岩の大岩壁には圧倒された。昼食は昨日と同じ安房の「はせがわ」で。奥西だけが仕上がりました。午後6時発の飛行機で屋久島とお別れ。
 まだまだ登る山があるので、もう一度来ることにしよう。  
大川の滝                              千尋の滝



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